大学受験 数学

数学的帰納法 等式編 ドミノの例でわかりやすく解説!難しいなんて言わせない!

投稿日:2018年10月12日 更新日:

 

今回はみんなが苦手な数学的帰納法を解説していきたいと思います。

「数学的帰納法?タピオカ入ってんの?」

みたいなこと思う高校生も多いでしょう。

 

今回の記事を読み終わったころには、

どんな馬鹿JKでもどんな類人猿でも

「数学的帰納法とか簡単すぎてワロタ」

と言っているでしょう。

 

ぜひ読んでいってください。

 

 

目次

数学的帰納法とは?

数学的帰納法というのは1言で言えば、

ドミノ式証明法

 

です。

  1. n=1で成立する
  2. n=kで成立すると仮定すると、
    n=k+1でも成立する

を証明することで、すべてのnについて証明できる方法です。

2番の「n=kで成立すると仮定すると、n=k+1でも成立する」より前の数で成立すれば、次の数でも成立する。

つまり、

「n=1で成立」
⇒「n=2(1+1)でも成立」

「n=2で成立」
⇒「n=3(2+1)でも成立」

「n=3で成立」
⇒「n=4(3+1)でも成立」

……

 

つまり、すべてのnで成立する。

 

 

ファ!?

 

ってなってると思うので、解説します。

今解決する問題は、

「ドミノが最後まで倒れるか
 (ドミノの幅はすべて同じ)」

というものにします。

 

そのために確認することは、

「前のドミノを倒すと、次のドミノも倒れる」
=「n=kが成立すると、n=k+1も成立する」

ことです。

ドミノの幅はすべて同じなので、「k番目のドミノ」と「k+1番目のドミノ」の幅を確認します。

この幅が大丈夫だった。

つまり、どのドミノでも、

前のドミノを倒せば、次のドミノも倒れる。

 

なら、

「1番目のドミノを倒してみよう。」

⇒1番目のドミノが倒れる
⇒2番目のドミノも倒れる
⇒3番目のドミノも倒れる
⇒…

 

k番目のドミノが倒れれば、k+1番目のドミノも倒れるんです。つまり、前のドミノが倒れれば、次のドミノも倒れる

それは確認済み。

ということは、

1番目のドミノが倒れれば、2番目が倒れる。2番目が倒れれば、3番目も倒れる。3番目が倒れれば、4番目も。…

結果的に、

すべてのドミノが倒れる。

 

これが数学的帰納法です。

  • すべてが連鎖していくこと
  • 最初が成立していること

の2つを証明する。

そうすれば、連鎖的にすべて証明される。

 

数学的帰納法の裏話

この数学的帰納法の裏話は

ただの余談

です。

数学的帰納法が解けるようになりたいだけの人は、まったく読む価値はないです。数学的帰納法の起源が気になる人だけ見てください。

 

 

「数学的帰納法」の由来は

「帰納法」です。

 

帰納法というのは、具体例をたくさん集めてきて証明する技です。

「○○は◇◇である」ことしか見たことがない
⇒「○○は◇◇である」に違いない

 

例えば、

黒いカラスしか見たことがない
⇒カラスは黒い

確かに、カラスは黒い。黒いカラスしか見たことないです。

レインボーのカラスとか気持ち悪いですもんねw

 

私の会った「小林」さんは全員キチガイだった
⇒「小林」さんはキチガイだ

私の学校にいる「小林」さんは全員キチガイです。

意味わからん奴しかいません。

でも

「小林さんは全員キチガイだ」と断定するには、例が少なすぎますよね。

「数人の小林さん」から「すべての小林さん」に飛躍するのは現実的には無理がありますね。

 

カラフルなキノコはいつも毒キノコだった
⇒カラフルなキノコは毒キノコだ

これはアリ。

昔の人は、食べて死ぬ人が多い食べ物は「毒物」と判断していました。つまり、帰納法を使っているんです。

Aを食べて死んだ人が多い⇒Aは毒だ

こんなふうに使います。

帰納法では常に、結論を出すときに範囲を拡大するんです。小さい事柄から一般化しているわけですから。

 

そして、

「数学的帰納法」はすべてのnで成立することを証明する方法です。

数多くのnで成立する⇒正しい

という構図が帰納法に似ているので、数学的帰納法と名づけられました。

 

しかし、

厳密には数学的帰納法≠帰納法。

数学的帰納法では、別に範囲は拡大していないですよね。すべてのnで成立することを証明しただけで、それ以上にはなっていないです。

「すべての自然数nで成立する」ので、「すべての整数で成立する」と結論を下した場合。

これは帰納法的な考え方です。

でも数学的帰納法では、「すべての自然数nで成立する」以上。それ以上でもそれ以下でもない。

等身大を証明しただけです。

 

数学的帰納法は帰納法とは違い、拡大していません。

だから記述式の問題で、「数学的帰納法」と書くのが面倒だから「帰納法」と書くと減点対象になりえます。

面倒くさくても「数学的帰納法」と書きましょう。

 

 

数学的帰納法 等式編

なんとなく数学的帰納法の様子はわかりましたか。

やっぱり日本語だけで永遠と説明されてもわかりにくいですよね。それじゃあ、例題行ってみよう!(急だけど(笑))

 

数学的帰納法 等式編<例題>

nが自然数のとき、次の式が成立することを数学的帰納法を用いて証明しなさい。

1²+2²+…+n²=1/6n(n+1)(2n+1)・・・♡

 

<方針>

まず、

「n=1のときに成立すること。」

その後

「n=kで成立することを仮定して、n=k+1で成立すること。」

 

この2つを証明し、確認すれば数学的帰納法は完成です。

簡単でしょ。

 

<ポイント>

ここ重要!

  • n=k+1が成立することを証明するときは99.9%の確率でn=kのときに成立した式を使う。
  • どうやってn=kのときに成立した式からn=k+1の式を導くかが数学的帰納法のポイント。

<解答>

(背景色グレーが解答です。)

 

(ⅰ) n=1のとき

(左辺)=1²=1、

(右辺)=1/6・1・2・3=1

よって、n=1のとき(左辺)=(右辺)で♡は成立する。

 

このときに

いきなり(右辺)=1とするのは減点です。

(♡の右辺)が本当に1になるのか、を確認しないといけない場所だからです。簡単なことです。

馬鹿らしい計算ですが、しっかり記述しましょう。

 

(ⅱ) n=kのとき

1²+2²+…+k²=1/6・k(k+1)(2k+1)・・・☆

が成立すると仮定する。

 

ここで「n=kの仮定」です。

この式から「n=k+1の形」を導き出せたら成功です。

 

☆の両辺に(k+1)²を加えて

(左辺)=1²+2²+・・・+k²+(k+1)²

 

ここでは右辺にn=k+1を代入した形、(右辺)=1²+・・・+(k+1)²を作ることを考えます。

そうしたら、

次の目標は右辺をn=k+1を代入した形の1/6・(k+1)(k+2)(2k+3)にする

ここでは右辺の2つの項に(k+1)が含まれていることに注目して因数分解してみる。

 

(右辺)=1/6・k(k+1)(2k+1) + (k+1)²

(k+1)・1/6・k(2k+1) + (k+1)・1/6・6(k+1)

=1/6・(k+1){k(2k+1)+6(k+1)}

=1/6・(k+1){2k2 +7k+6}

=1/6・(k+1)(k+2)(2k+3)

これは♡の右辺にn=k+1を代入したものである。よって、♡はn=k+1でも成立する。

 

という具合に証明終了です。余計な注意点なしの解答を載せておきます。(何が余計だよ!(笑))

 

<解答>

(ⅰ) n=1のとき
(左辺)=1²=1、

(右辺)=1/6・1・2・3=1
よって、n=1のとき(左辺)=(右辺)で♡は成立する。

(ⅱ) n=kのとき
1²+2²+…+k²=1/6・k(k+1)(2k+1)・・・☆
が成立すると仮定する。☆の両辺に(k+1)²を加えて

(左辺)=1²+2²+・・・+k²+(k+1)²

(右辺)=1/6・k(k+1)(2k+1)+(k+1)²
=1/6・(k+1){k(2k+1)+6(k+1)}
=1/6・(k+1)(k+2)(2k+3)

これは♡の右辺にn=k+1を代入したものである。よって、♡はn=k+1でも成立する。

(ⅰ)、(ⅱ)より、♡はすべての自然数nについて成立する。

 

思っていたより記述量少ないですよね。

でも

これだけでいいんです。

 

数学的帰納法は「n=k+1の証明」以外は毎回同じこと書いてればいいんです。

その代わり、「n=k+1の証明」だけは頭使って考えなきゃいけません。だいたい、n=kの式の左辺をn=k+1の式になるように両辺になにか足せば解けます。

 

数学的帰納法 等式編<演習題>

では、例題①を参考にしながら実際に手を動かして解いてみましょう。形式はほとんど同じです。

nが自然数のとき、次の式が成立することを数学的帰納法を用いて証明しなさい。

1³+2³+…+n³=1/4n²(n+1)²・・・①

<方針>

先ほどと同じく、

n=1のときに成立すること。

n=kで成立することを仮定して、n=k+1で成立すること

を証明すれば終わりです。

 

<ポイント>

ここも重要!

  • n=k+1が成立することを証明するときは99.9%の確率でn=kのときに成立した式を使う。
  • どうやってn=kのときに成立した式からn=k+1の式を導くかが数学的帰納法のポイント。

ではいきなり解答へ。

(ⅰ)n=1のとき

(左辺)=1³=1、

(右辺)=1/4・1²(1+1)²=1

よって、n=1のとき(左辺)=(右辺)で①は成立する。

(ⅱ)n=kのとき

1³+2³+…+n³=1/4n²(n+1)²・・・①が成立すると仮定する。①の両辺に(n+1)³を加えて、

(左辺)=1³+2³+・・・+n³+(n+1)³

(右辺)=1/4n²(n+1)²+(n+1)³

=1/4・{n²(n+1)²+4(n+1)³}

=1/4・(n+1)²{n²+4(n+1)}

=1/4(n+1)²(n+2)²

これは①の右辺にn=k+1を代入したものである。よって、①はn=k+1でも成立する。

 

出来たでしょうか。

やり方は例題とほぼ同じでしたね。

 

k=n+1のときの証明では、(n+1)²に注目して因数分解すれば簡単でしたね。

 

これで、数学的帰納法の基本は終了です。流れ通りにやれば、意外と簡単でしたよね。

この流れを頭の中に入れれば、テスト中は圧勝ですよ。

 

数学的帰納法は点取り問題にして、高得点を取ってください。

では、頑張って下さい。

※数学的帰納法 不等式編、3項間漸化式編、n≦kを仮定する編も公開する予定です。

とりあえず、不等式編は完成しました。是非、読んで下さい。

 

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