今回は、「東大への道 物理編」になります。
別に順番に特別な意味はないんですけど、なんとなく物理書きたいなーって思って、英語→物理って進めてるだけです。
私が東大入試の本番で58点/60点をとった経験、対策方法や勉強法について、詳しく話せたらなと思っています。
目次
東大物理58点の証明
まず、
本番で本当に58点/60点も取ったのか、っていうことですが。以下の写真が証明にはなります。
全体成績はあんまりよくないんですけど、(一応2022年入試で難しかったから、って言い訳させてください笑)
まあ物理に関しては高3以降ずっと得意でした。
- 物理部である
- 物理オリンピックに出場してる
- 学校の物理の進度がめちゃ速い
みたいな特別な事情があったわけではなくて、普通に高1から物理の授業が始まって、高3の秋に全範囲終了するごく一般的な学校です。
本腰入れて物理の勉強を始めたのは高1夏以降で、高2終わり時点で、一通り物理は完成していました。
物理の勉強はすべて参考書で行ったし、学校の授業は聞かずに内職していたので、独学でも再現性ある勉強法を紹介できると思います。
東大物理 対策
東大物理の基本情報
<基本情報>
配点:60点
時間:75分前後
<特徴>
- 大問1は力学、大問2は電磁気学、大問3は波動か熱力学
- 原子はほぼ出ない
- 長文問題で状況把握が大変
- 標準〜やや難が大量
東大物理は毎年ほぼ大問ごとの出題傾向は固定です。大問1は力学、大問2は電磁気、大問3は波動化熱力学です。
2023年は大問1が力学・電磁気・原子、大問2は電磁気・波動の融合問題が出たものの、メインで問われることは例年通りの傾向でした。
つまり形式上融合問題でも、実際の操作は例年通り。
また原子の出題は基本的に2005年以後ありません。
2023年の話も確かに原子分野の半減期などが聞かれていますが、一度でも理解していれば問題なくその場で思い出せるレベルです。
原子は教科書レベルの内容を一度理解しておけば、特別演習する必要はなさそうです。
問題文は長く、状況把握が大変なことが多いですが、まあ一歩一歩理解していけばなんとかなります。また設問レベルとしては、標準的な設問が最近は多く、公式1つか2つの適用で答えは出ます。
そのかわり問題数が異次元に多いです。
全問解こうとすると必ず時間が不足します。
東大物理の分野別傾向
私はあまり「特別この分野に絞って勉強する!」とかいうのが好きではないですが、分野別に話します。
<力学>
全分野満遍なく出題されるが、強いていうなら「単振動」と「円運動」が頻出。
典型問題だけでなく複雑な設定のものも多いので、しっかり理解したい。特に「単振動」はしっかり、運動方程式から導けるようになりたい。
あと「運動量保存則」と「エネルギー保存則」はどう足掻いても、ほぼ毎年使うことになるので、絶対に押さえておきたいです。
あとは物体に働く力を正しくかく。正しく分ける。万有引力の法則を正しく覚える。
力学は本当に全範囲から出題されるので、すべてしっかり理解しておく必要があります。
<電磁気>
「電磁誘導」「直流回路」から多彩に出題されます。
磁場と絡める問題が非常に多いので、
- 回路は実質1周巻きのコイル
- コイルを貫く磁場の変化が起電力に
- etc
電磁誘導近辺の知識は完璧にしておきましょう。
あと「直流回路」で抵抗・コンデンサーは普通に出題されるので、パターン演習は必須になってきます。
逆に「交流」は他の大学ほど出題されないし、コイルのリアクタンスもそこまで見ない印象です。公式ゴリ押しの分野からの出題が少ないです。
浪人生の優位は勉強時間くらいになるでしょう。
<波動>
「光の干渉」がよく出るイメージ。
基本的に干渉条件となる「距離の差」「位相の差」が頻出です。
結局、波動なんて位相差による干渉しかやることないので、それが絶対出ます。
波の式に関する出題はほぼ見ません。だから、波の式への理解は多少低くても問題ないと思います。
<熱力学>
熱力学の問題として、「断熱変化」「等温変化」「定圧変化」「定積変化」の使い分けと、「Q=U+W」と「仕事率」と、「気体分子運動論」しか考えることはないです。
近年の問題量増加傾向に対して、出題できる種類が足りてないので、熱力学が出題されると結構な確率でサービス問題だらけになります。
あんまり複雑にならないので。
ここは点数の取り所。
しっかり勉強をしておきましょう。とは言っても、二年に一度の出題ではあるので、力学・電磁気ほどの優先度ではないです。
<原子>
東大自体はあんまり原子を出題する気はなくて、ただ日本の国立大学を象徴する立場として原子を出題しないわけにはいかない。
って感じだと思います。
だから最近は他の分野に混ぜて出題して、「出題しました感」を出しているのでしょう。
原子の細かい知識や深い内容を聞かれることはなくて、出題テーマが原子なだけで、中身は力学なんてことがままあります。
あまり勉強する必要はないですが、念のため共通テスト対策がてら必要な知識を入れておくのがおすすめ。
東大物理の目標得点
得意な人:50点
目安目標:40点
苦手な人:30点
例年東大物理の合格者平均点は40点前後です。
東大物理は東大の入試科目の中でも、努力すれば高得点が可能な科目の1つなので、できることならここで点数を稼いでおきたい。
苦手な人でも各大問の前半半分を解答して、傾斜と下駄も合わせて30点くらいは目指したい。
東大物理の配点・傾斜
東大物理には間違いなく傾斜・下駄が存在します。
私は2問不正解、1問計算ミスだったのに58/60点でした。つまり、実質0点の設問が存在しています。
科類ごとの採点なので、下駄の履かせ方・傾斜の仕方は異なるでしょうが、どの科類も存在するのは確かでしょう。
基本的には、
- 正答率が高い設問は高配点or低配点
- 正答率50%付近の設問の配点が高い
- 難問、後半の設問は配点が極端に低い
でしょう。
特に難問や後半の設問の配点が低いのはほぼ確定だと思っていいです。
「大問1・2の終盤の設問」や「大問3の後半部分」は正答率が低いでしょうし、時間がかかる設問も多いので飛ばすのが吉。
逆に「大問1・2の前半」「大問3の序盤」はみんな解答するので、配点が高く、ここを抑えるだけで比較的高得点が望めます。
時間的な圧迫が激しいので、最初からとくべき問題を決めて、効率的な点数の取り方を目指すのは全然アリだと思います。
ただ模試では下駄・傾斜がかからないので、あまり成果は出にくいかもしれませんが。
みんなが落とさない問題を確実に取り切る。
東大物理 途中経過は必要?
受験生のフィードバックですが、
https://todai.info/juken/data/2023/kaiji_6.php#comment-s1
- 下駄、圧倒的下駄。
答えだけ書いても点数はちゃんと来る- 受けた感触25点、開示53点なので、どう考えても変な方法で点数がつけられてるんだと思う。問題がめっちゃ難しいなりに記述は結構頑張って書いたので、その記述の内容はかなり重視されたと見る。
- 回答を丁寧に書いたら結構点もらえたので嬉しい(30点~34点)
とのことで、途中経過については
- 書かなくても減点はない
- 過程への加点は惜しみない
でしょう。
よくいうのは答えだけ計算ミスをしていても、過程が正しければほとんど減点されない説があります。
だから、基本的には「答案用紙に記述しながら、計算だけ問題用紙にする。」といった感じが一番ロスが少ないでしょう。
各設問の配点がおよそ3点なので、完全正答3点、計算ミス2点、核心の式のみ1点。くらいのノリだと思います。
特別正答率の低い設問なら、核心の式が書けるだけでも大きめの加点が入ると思われます。
わりと諦めず過程を書くのは大事です。
東大物理の勉強法
東大物理へ向けて
東大物理に通用する勉強をするにあたって、注意すべき点などを書いていきます。
- 公式の適用条件をよく理解する
- 典型問題を瞬殺できるよう
まず公式の適用条件をよく理解すること。
東大は複雑な問題文・状況で、受験生に困惑を与えてきます。典型問題も典型パターンに見えないような工夫をしてきます。
そこでどの公式・典型が使えるのか。
保存しているのは運動量かエネルギーか。
それとも働く力・運動方程式がわかるのか。
問題文からどの公式が使えるか正しく判断できるようになる必要があります。
そのためにも公式の適用条件は深く理解している必要があります。理論では当然、感覚でも理解できるようにしたいところです。
あとは典型問題を瞬殺できる処理力が大事になってきます。
東大物理はなんと言っても問題量・処理量を問うてきます。問題文も多いですし。
典型問題を適用できると気づくための、公式の適用条件の理解とともに、適用するときの処理力・計算力の速さも大事になってきます。
東大物理の対策 参考書
具体的な物理のおすすめ参考書ルートや使い方については下で紹介しています。東大を意識して書いているので、こちらを参考にしてください。
東大物理レベルでおすすめしたい参考書としては、
<基礎の理解>
- 物理のエッセンス
- 漆原の面白いほどわかる本
- 東大物理の過去問2005年以前
- 新物理入門
あたりが物理の根幹理解に役立つと思います。
私は「物理のエッセンス」とYoutubeの動画で理解したあと、しばらく参考書を挟んで「東大物理の過去問2005年以前」をやりました。
物理のエッセンスは説明が多少雑というか親切心がないので、1周ですべて理解するのはなかなか難しいです。しかし、今後につながる解説をしてくれているので、後々効いてきます。
問題も豊富で読みながら進めていくにはちょうど良いです。
一方漆原はわかりやすい解説を心がける一方で、肝心な部分を曖昧にするきらいがあるので、難関校志望者にはあまりおすすめしません。
ただエッセンスの理解の補助などに使うのはアリです。
あと他には、東大物理の過去問2005年以前のものは非常に基礎理解に役立ちます。
設問数がかなり少なく、現在の典型問題とされているような大問が多いので、今やると基礎の理解が捗ります。なかなかにおすすめ。
ある程度問題が解けるようになってから演習すると、サラに理解が深まります。
新物理入門は角速度保存則やゴリゴリ微積物理が詳細に解説されている参考書です。
理解できれば大学物理に片足突っ込んだ深い理解ができますが、なにせ解説が抽象的で難しいので初学者ではまず使えません。
まあ参考程度に使うには結構いいと思います。
<30点レベル>
- 良問の風
- 重要問題集A問題
- リードα基本問題
基礎的な典型問題がすべて解ければ30点まではいきます。
私は「良問の風」をやりましたが、正直どれでもいいです。ここまではインプットに近いです。典型パターンをひたすら集めた問題集になります。
いろいろな典型問題を解き進めていく中で、定石を学ぶとともに、公式への理解を深めていきます。
問題の題材そのものが公式の解説になっていたりするので、物理では多くの問題を理解しながら解くのは非常に有効です。
ちなみに重要問題集は9割A問題なので、「重要問題集A問題」≒「重要問題集」になります。B問題は40点レベルです。
<40点レベル>
- 名問の森
- 重要問題集B問題
- リードα発展問題
- 東大物理の過去問2005〜2010
ここらへんになると初見の問題設定に対して、どのように典型パターンを適用していくか、という問題が多くなってきます。
つまり東大物理の問題はここら辺のレベルが基準になります。名問の森でいう赤星1〜黒星1が東大物理の平均設問レベルです。
あとは東大物理の過去問2005〜2010年は程よい難易度と問題数なので、最近の過去問で30〜40点ほどの人には良い練習になると思います。
<50点レベル>
- 難問題とその系統
- 標準問題精講
- 東大物理の過去問2010〜/模試
「難問題とその系統」は非常に難しいとはよく言われますが、実はそんなことないです。
名問の森赤星1〜黒星3くらいのレベルだと思ってください。基本黒星1〜2の設問が多いです。
サービス問題を抜いたとき、東大物理の本番で出題されるレベル感として非常にマッチしています。
まったく初見の設定も多く、一見関連問題が見えてこないものの、問題を読み込んでいく中で解けるものが多いです。
つまり非常に東大物理演習に向いている。
解説が割と飛ばしめで、全然解けなかった問題は結構解説読むのがしんどいという欠点がありますが笑。名問の森が完成していれば、割と解けるので安心してください。
私は過去問と模試を除けば、この難系が最後の参考書で、58/60点でした。
ポテンシャルとしては東大物理満点並みの参考書です。
標準問題精講も似たようなレベル感です。
あとは2010年以降の過去問や東大模試の過去問は、問題数も多く、難易度もなかなかな設問ばかりなので、演習には非常におすすめです。
まとめ
以上で「東大への道 物理編」になります。
物理は圧倒的な得点源になりうるので、正しい理解と演習量を積んで、圧倒的な得意科目にしてしまいましょう。
物理の勉強法に関しては↓の記事で詳しく紹介しているのでぜひどうぞ。
その他「東大への道シリーズ」になります。