引き続き今回は「東大への道 化学編」になります。
その他「東大への道」シリーズも出しているので、↓の記事からぜひご覧ください。
化学の成績は基本的に努力量で決まります。
構造決定など一部センスが問われる部分はありますが、基本的には持っている知識と演習の量で決まります。だから、
正しく努力をすれば報われやすい。
ここで十分対策を練っていってください。
目次
東大模試 化学
偏差値87.9の証明
まず私の東大化学の信憑性についての証明をさせてください。
私は高3秋の東大模試の化学で
偏差値87.9
全国順位7位
でした。
そのため東大化学にはそれなりに精通しているつもりです。
ただ本番では物理に多めに時間割いてしまって、非常に恥ずかしい点数をとってしまっています笑笑。ごめんなさい。
一応話を戻すと、
- 化学オリンピックに出場
- 化学系の部活所属
- 早期からの化学の勉強
などの特殊な経歴はありません。
ごく普通に高1冬から独学で化学の勉強をガッツリし始めて、高3夏には完成していました。
化学の勉強法に関しても再現性は高いでしょう。
ぜひ一緒に化学を極めましょう。
↓が化学の勉強法になります。
東大 化学対策
東大化学の基本情報
<基本情報>
配点:60点
時間:75分*
※理科2科目で150分なので、あくまで目安。
<特徴>
- 第1問は有機、第2,3問は無機・理論
- 細かい知識は問われない
- しばしば大問1/2分はゴリ難
- 問題数と計算量がバグ
まずですが、2017年以降ずっと第一問は有機。第二問、第三問は無機・理論からの出題になります。
無機と理論は融合している場合が多く、無機の知識を活かして理論の計算を進めていくような場合がほとんどです。
東大化学では、教科書レベルを超えた詳細な知識は問われないです。
ラジウムの炎色反応は何色ですか〜?
銅アセチリドの構造式はなんですか?
みたいな知識は、新演習には載っていますが、東大化学では問われません。
そのかわり、
まったく初見の物質の反応を考察する問題。または、その場で反応機構を考察させ、構造式を書かせる問題などなど。
ゴリゴリに難しい初見の問題が毎年大問1/2分くらいでます。(東大化学って、3つの大問がそれぞれ2 partに分かれているので)
設定がゴリむずすぎて、普通に(2)くらいから詰むやつです。
またその他の問題も、標準レベルで計算量が多く、尚且つ問題数も多い。そのため、時間内にすべて解き切るだけでも相当な処理力を要します。
東大化学の分野別傾向
相もかわらず、東大化学は特別な出題の偏りはありません。
特に重点的に勉強すべき範囲は存在しても、勉強しなくてもいい範囲は存在しないので、しっかり全範囲完璧にする努力を怠らないように。
<有機化学>
まず頻出分野としては、
- 構造決定
- 高分子
この2つが欠かせないです。
毎年のように構造決定は出題されます。
基本的には問題文にある特徴的な記述から、1つずつヒントを得ていき、最後に問題設定で与えられた新たな考察から未知の構造を決定する場合が多いです。
つまり、正しい有機の知識は皆が持っている前提の問題構成になります。
知識が1つでも怪しいと、運が悪ければ(1)から雪崩するので気をつけましょう。
異性体についての考察も記述問題として出たりする(パラの方が安定なのは何故か?とか)ので、構造決定全般に対して理解・知識が問われます。
あとは高分子。特に糖はよく見ます。
こちら、六員環や五員環などの構造式を詳しく問う設問は少ないですが、ヒドロキシ基のメチル化や切断などの出題は多いです。
割と問題中で示される操作に従い、計算をするパターンです。
勉強が遅れがちな高分子なので、しっかり勉強しておきましょう。
有機の問題は
- 教科書的な知識
- そこからの考察
- 問題文からの考察
の3種類のヒントを用いながら、未知の物質を考察していきます。
「教科書的な知識」が問われているときに、「やったー!サービス問題だぁ!」と思えるようになっていないと勝負になりません。
<理論・無機化学>
頻出分野は、
- 化学平衡
- 反応速度
化学平衡は本当に頻出で、それに伴う計算問題・ルシャトリエの原理による考察など、大問1つ丸々化学平衡で終わることもあります。
その操作の途中で使用した実験方法や物質などから派生して、細々と無機の知識を記述形式メインで聞いてきます。
今年も
- 「Mg2+の還元にMgCl2水溶液の電気分解ではなく、溶融塩電解が使われる理由」
- 「ハロゲン化水素の沸点に差が出る理由」
などなど。
ハロゲン化水素みたいな無機の頻出パターンなんかは、そのままドンと出題されるので、どれだけ基礎を大事に勉強してきたか問われます。
また2023年入試は化学平衡だらけで、「ルシャトリエ」と答えさせる設問もありました。
他の頻出分野としては反応速度があります。
こちらも平衡と絡めて出題されることが多く、単体での出題だと基質と酵素の話になりがちです。
モル濃度など抽象的な式のままイジくる計算には慣れておきましょう。
最近は平衡や反応速度が頻出ですが、もう少し遡ると割とどこからでも出題されるので、全範囲カバーしたいところです。
また東大化学の理論計算は、割と読んだまま数字を代入するだけ設問が存在します。そこをいかに正確に素早く正答するか、は非常に大事になります。
東大化学の目標得点
得意な人:45点
目安目標:35点
苦手な人:25点
例年東大化学の合格者平均点は35点前後になります。理1,2は35点弱、理3は35点強でそこまで科類による差はありません。
努力量がものを言うので、しっかり勉強している合格者は皆点数が取れています。
一方で不合格者平均点は25〜30点ほどになっています。
だから、
どんなに苦手な人でも東大化学25点は欲しいです。
実際東大化学4割程度の問題は非常に簡単な典型パターン。3割ほどが必要知識や解法は典型パターンだが、難しい問題。残る3割は新しい考察などが絡む高難易度。
という感じです。
しっかり基礎の勉強を積めば30点程度は取れると思います。
東大化学の途中式・傾斜
まず東大化学の「途中式の必要性」について。
- 途中式や過程を書く指示アリ
- 過程への途中点は必ず存在
なので、物理と違い、「途中式を書かなくてもいいよ」とはなりづらいです。
ただ化学は設問数が多くて計算問題も配点が2~3点だと思うので、過程はほぼ完璧で1~2点。半端なら0~1点になります。
そこまで加点されるかはわかりません。
ちょうど計算問題に傾斜が掛かれば、一気に過程に大量加点される可能性はあるので、途中式は書いておくべきです。
でも特別に丁寧に書く必要はなくて、手短に日本語で記述と、式があればいいと思います。
数学みたいに厳密な議論を求めているというより、思考の過程を記すことで、途中式への加点や当て勘の防止くらいの意味しかないと思います。
また「傾斜」は物理ほどではないにしろ存在します。
https://todai.info/juken/data/2023/kaiji_6.php#comment-s1
- 大問2にほとんど手を付けず、大問1と3で少し解いたのみにもかかわらず、かなり高くついた印象だ。得点調整はあると確信
- とにかく難しくて出来なかった。しかし開示は自己採の2倍くらいになっている。下駄どころか竹馬??みたいに加点されてる
- 答えが分からなくとも、問に対して何を考えたかを書きまくっていたのでかなり点が来た。答えどうこうより差をつける目的で物理的な視点で思考する意志があるかどうかを評価している気がする。
- 前半の傾斜が大きいと感じた。各大問の最初の数問は本当に落としてはいけない、自分はそこの計算ミスで落ちた。
- 前半のほうに相当大きな配点がある
毎年東大化学は実質大問が6つ存在します。(大問1~3がそれぞれpart1,2に分かれているので)
大まかな話ですが、
そのうち2〜3つは設定が普通で解きやすい。2〜3つは難しいけど時間かければ解ける。1つは設定ゴリ難で、まるで手がつかない。
っていう感じになります。
で、近年の難易度だと設定が普通で解きやすい2~3つ以外の正答率が異様に低く、この大問に傾斜配点を行なって、強引にここだけで差をつけているのでしょう。
だから「皆解けそうだな」と思った問題は、1つも落としちゃダメです。
で、「皆解けなそうだな」と思う問題は答えが出なくても、わかるところまで途中式を書いておけば大きめな加点があり得ます。
傾斜に関しては、模試では存在しない採点方法で、なかなか想像つかない部分が多いですが、本番で存在するのはほぼ確定です。
できるだけ順応して作戦を決めていきましょう。
東大化学の勉強法
体系的な化学の勉強法に関しては↓の記事で解説しているので、ぜひご覧ください。
東大化学へ向けて
先ほどの流れでわかるとは思いますが、
- 教科書レベルの知識を”完璧”に
- 理論の計算はパターン化
これが非常に大事。
まず
- 東大化学は難化傾向にあるから難しい問題集とかなきゃ!
- 教科書レベルはもういいだろう
といった思考が一番危ないです。
東大化学は結局、基礎的な教科書レベルをいかに完璧にしておくか。文字通り、正確に漏れなく記憶しておくか、で差がつきます。
普段の勉強から妥協癖がついて「まあこれは出ないだろ」とか、「理解すんの面倒だから丸暗記しちゃえ」みたいな姿勢はよろしくないです。
教科書レベルの知識ならすべて覚えないとダメだし、明らかに高校範囲を超えている場合を除けば、すべて理解しないとダメです。
”完璧”に。
また理論の計算パターンは機械的にできるまでやり込みましょう。
「わかる」と「解ける」と「本番で解ける」はすべて別物である意識を持ってください。
大抵の人は「解ける」で勉強を止めてしまいますが、東大化学においてそれは足手まといの能力でしかないです。
時間的制約の中で、時間のかかる計算工程なんて、デメリットしかないです。
しっかりと素早く正確に解けるようになるまで演習を積みましょう。そこまでしてやっと「本番で解ける」レベルに到達します。
東大化学の参考書対策
東大化学に役立つ参考書を主に紹介していきます。
使い方とか、詳しい話はそれぞれ記事を参考にしてください。
<25点レベル>
- 教科書+問題集
- 鎌田・福間の〇〇化学
- 基礎問題精講
私は教科書を読んで、リードαという問題集を7周しました。
なんだかんだで教科書がわかりやすいので、まず全体像を入れて勉強を始めるには割とおすすめです。あと、付属の問題集(セミナー化学とか)も基礎の網羅・習得には便利です。
時間があるなら全員におすすめしたい。
「鎌田・福間の〇〇の化学」は、教科書の説明がわかりにくい場合に使ってください。
頭に入ってきやすい言葉で書かれているので、化学が苦手だったり、文字を読むのが苦手でも読みやすいはずです。
「基礎問題精講」は初学者には割と厳しいので、学校で一通り勉強したはずだけど…
という本当の基礎はある程度できる人におすすめ。解説は丁寧なので、全体像が見えてるのなら使いやすいはずです。
どれを選ぶにせよ、このレベルを”完璧”にしてほしい。
<40点レベル>
- 化学の新標準演習
- 重要問題集
- 化学の新演習
- 標準問題精講
レベル順にこんな感じです。
私が思うに、化学の新演習は少々オーバーワークで、教科書レベルを超えた知識が含まれているので、優先度は低いと思っています。
重要問題集は非常におすすめで、東大化学の落とせない問題〜差がつく問題の範囲をカバーしていると思います。
これをやり込むことで化学で落ちない学力がつきます。
化学の新標準演習は、化学の新演習の簡単バージョンです。さすがに不足分はあるものの、問題数は多いので、最初に基礎問題精講を選んだ人が2冊目とかで使うのにはいいと思います。
標準問題精講はむずいです。
<手元に置きたい>
- 化学の新研究
- 有機化学演習
「化学の新研究」は高校化学では説明しきれない事象や、より詳しい機構の解説をしてくれます。
化学の勉強をしていると必ずわからない部分は出てくるので、その時に参照すると非常に効率が良いです。ちなみに、結構持っている人は多いです。
新品で買うと3000円弱するので中古をおすすめします。
有機化学演習は有機の知識をまとめてくれていて、過去問に入る前とか、一旦すべての有機知識を整理したい時に非常に有用。
これは一通り勉強した後に思うことなんですが、
「いろんな関連知識のまとめ」っていうのは非常に重宝します。知識が整理されて、より明確に知識を頭から取り出せるようになります。
東大は有機も毎年出ますし、知識の整理に使ってください。
まとめ
「東大への道 化学編」はこれで以上になります。
東大化学は、英語・物理と並んで、凡人でも比較的高得点を狙いやすい科目です。
ぜひぜひ適切に対策をしてアドバンテージを稼いでください。
他の東大への道シリーズはこちらになります。
総論編
物理編
英語編