最近「東大への道」シリーズを書いてたわけですけど、
そういえば医学部系のまとめ記事も欲しい人いるなー、と思ったので書きます。
私の推測では、
このブログ読者は東大や国公立医学部志望が多いので(コメント欄見てる限りは)
ということでいきます。
目次
国公立医学部の概要
全国には全部で医学部が82校あるわけで、
国立医学部:42校
公立医学部:8校
私立医学部:31校
管轄外医学部:1校
※管轄外医学部っていうのは防衛医科大学のことです。
そのうち、
国公立大学の医学部ってどんなものか?
見ていきます。
国公立医学部の入試形態
国公立医学部に入ろうと思ったら、大きく分けて2通りの受験方法があります。
- 一般受験
- 推薦
割と大事(特に推薦はうまく使うとコスパいい)なので、順番に説明していきます。
ちなみに
2022年度において | 合格者数 |
国公立医学部全体 | 4,857人 |
前期試験 | 3,353人 (61.4%) |
後期試験 | 350人 (6.4%) |
地域枠 | 267人 (4.9%) |
推薦入試 (一般枠+地域枠) | 1,487人 (484+1,003) (27.3%) |
となっていて、医学部合格者のうち一般入試が72.7%、推薦入試が27.3%です。
<一般受験>
まず一般受験に関してですが、”国公立大学”の医学部なので、大まかには国公立大学の入試と同じです。
- 共通テスト
- 二次試験
- 面接や小論文
基本的に上の3つで評価されます。
共通テストは基本的に5教科7科目の受験が必須となります。大学によっては選べる理科科目に指定があったりします。(必ず「生物」で受験しないといけないなど)
そこら辺は大学の受験要項を調べてください。
二次試験も多種多様で、基本的に「英語」「数学」「理科」は必須です。「国語」は東大のように筆記試験として課されたり、「小論文」の一部として出題されたりします。
国公立大学の面接はチョロいです。
圧迫面接もないことが多く(二次面接だとあるかも)、また面接時間も10~20分の大学がほとんどです。
よっぽどコミュニケーションに障害があるとか、挙動が不審すぎるとか、もうパッと見で普通じゃないなと思われない限りは大丈夫です。
ただ面接対策は1度はやらないと必ずボロが出るので、絶対一回はやっておきましょう。
また国公立医学部では大体「小論文」か「志望理由書」のどちらか一方、もしくは両方を書かされます。
小論文は課題文やテーマに沿った、自分の記述が求められるので、練習なしでまともに書くのは普通難しいと思います。
志望理由書は出願時に提出することが多く、時間を無限にかけれるので周りの大人に助けてもらいながら書けば大丈夫です。
基本的には、「共通テスト」と「二次試験」に時間を割き、受験年の秋頃に「面接・小論文・志望理由書」の対策をスキマ時間でやりましょう。
医学部面接用の参考書はやらなきゃいけないってことはないです。
あと国公立医学部受験で抑えておきたいのは、
- 前期試験
- 後期試験
という2種類の入試があること。
2/25前後にほぼ全ての国公立大学が開催するのが「前期試験」です。その後前期試験の結果が3/10頃に発表され、不合格だった人に与えられる次のチャンスが3/20頃にある「後期試験」。
後期試験を開催する大学は限られていて、難易度は前期試験より高い。また出願は前期試験と同じタイミングなことに注意しましょう。
<推薦>
基本的に評価方法は、
- 共通テスト(or筆記試験)
- 面接+調査書
- 小論文
が多いです。
面接+調査書と小論文の試験で選抜されて、内定者はその後共通テストを受けます。共通テストで基準点を超えれば、晴れて正規合格となります。
大体は、ですけど。
独自の筆記試験を課すところもあります。詳しくはhttps://yms.ne.jp/suisen-information-np/で確認してみてください。
ただどちらにせよ特別筆記試験の学力を問われることはなく、一般受験よりも低い点数で通ることが多いです。
そのかわり調査書の内容(学校で何を頑張ったか)や、面接の受け答え、小論文の出来が良くないと合格を掴むのは難しいです。
あと1つ注意するポイントとして、学校内選抜が盛んであること。
国公立医学部の推薦入試なんてそりゃ人気です。しかし、1つの学校からの推薦可能人数が決まっていたりします。
そのため、学校内でまず選抜があることも。
学校の成績をしっかり取っておきましょう。
それさえできれば意外とお得な受験です。
国公立医学部の学費
国立大学の学費は国がほぼ一括管理しているので、基本どこも同じです。公立大学も基本的には、国立大学と似たようなもので、
入学金:282,000円
授業料:535,800円/年
ただ医科歯科と千葉医は授業料が60万円/年くらいで少し高いです。
また公立大学は入学金が特殊で、県外の入学者のみ入学金が80万円くらいだったりします。その後県外に出て行ってしまう可能性が高いからですね。
あとは同窓会費や教科書代が主な出費になると思います。一人暮らしするなら、家賃や生活費もしますね。
医学部は基本的に教科書が高いので、いちいち全部買ってると凄い金額になります。友達と一緒に買ってPDF化したり、先輩からもらったり、工夫しましょう。
6年間の合計で、
約350~400万円
となります。
ちゃんとした車一台分くらい。まあ国公立の一般学部でも4年間で250万円くらいするので、医学部の将来性を考えれば良いのでは?
国公立医学部のランク表
ランクはあくまで私の個人的な見解であり、客観的指標ではないです。
基本的には共通テストボーダーを見て判断していますが、一部二次試験の難易度なども加味しています。
前期試験
後期試験
で紹介してます。
共通テストは第一回レベルでの得点率を想定しています。2022,2023年度レベルの共通テストだと、もっと低い点数がボーダーだと思われます。
国公立医学部
S Sランク
東大理Ⅲ
京大医学部
医科歯科後期
まあ冷静に考えて上2校は別格ですよね。
明らかにその他の国公立医学部とは一線を画しています。
東大と京大は共通テストボーダーは両方90%超え。医科歯科後期に至っては、共通テストボーダー95%前後になります。
ワンチャン国公立医学部の試験で一番難しい説があります。
近年は灘が京大医学部に流れるので、理3と京医は何だかんだ同レベルです。
日本のトップ層は基本的には「東大理3か京大医学部か海外大学か」で悩むので、まあSSランクとして良いでしょう。
国公立医学部
Sランク
医科歯科前期
大阪大医学部
共通テストボーダー:90%前後
この2校は超難関。
大学受験で一浪してでもSランクの国公立医学部に合格できたなら、最高の成果と言えるでしょう。
共通テストボーダーも90%前後の年が多く、共通テストの基準ではSSランクに引けを取らない最高峰の医学部と言えるでしょう。
ただやっぱりSSから見ると、滑り止めにはしないものの一段下がるかな、という印象。
でも十分エグいです。
合格できたら大学受験は大成功です。
この理3・京医・医科歯科・阪医の4強は絶対崩れないですね。どのランキングでも上位4つはこの大学です。
国公立医学部
Aランク
千葉大学医学部
神戸大学医学部
横浜市立大学医学部
九州大学医学部
大阪市立大学医学部
奈良県立医科大学
名古屋大学医学部
岡山大学医学部
防衛医科大学
山梨大学医学部後期のみ
富山大学医学部後期
岐阜大学医学部後期
三重大学医学部後期
浜松医科大学後期
共通テストボーダー:88%前後
この上の9校も難関国公立医学部の筆頭です。
基本的にはこの中から医学部ランキングTop10に入ってくるだろう、という国公立医学部。
ここらへんの国公立医学部は地域に一番大きな医学部だったりして、医局がデカいです。そのため、研修先や就職先が充実していることが多い。
現役でこのレベルの国公立医学部に入れれば、万々歳でしょう。一浪でも十分です。だって医学部目指す人ならみんな知ってるし。
東大理1と同じくらいの難易度だと認識してます。東大理1のA判定層が、模試がてら防衛医科大学を受けに行くので、なかなかなレベル帯です。
千葉医はよくS Sランク校受験者の滑り止めとして、後期試験で受けられたりしますが、全然難しいので油断しないように。
また後期試験になると、全国の前期試験滑り勢がこぞって参戦してくるので、非常にレベルが高くなります。
前期試験の難易度から1ランク上昇するので注意してください。ほぼSランクです。
国公立医学部
Bランク
北海道大学医学部
東北大学医学部
筑波大学医学部
新潟大学医学部
名古屋市立大学医学部
秋田大学医学部後期
山形大学医学部後期
福井大学医学部後期
佐賀大学医学部後期
宮崎大学医学部後期
鹿児島大学医学部後期
琉球大学医学部後期
山口大学医学部後期
共通テストボーダー:86%前後
まだまだ難関です。
医学部として胸を張れる国公立医学部になります。
現役に合格が取れれば十分。もう一浪してAランクやSランクを目指すのもアリ、といった感じですかね。私個人の主観ですが。
浪人して入学しても全く恥ずかしくないです。妥当なライン。
後期試験の大学群は、Aランクを前期試験で受ける人の滑り止めなんかにも使われますね。
国公立医学部
Cランク
旭川医科大学
札幌医科大学
秋田大学医学部
群馬大学医学部
信州大学医学部
金沢大学医学部
浜松医科大学
三重大学医学部
滋賀医科大学
京都府立医科大学
奈良県立医科大学
鳥取大学医学部
島根大学医学部
広島大学医学部
山口大学医学部
愛媛大学医学部
長崎大学医学部
熊本大学医学部
宮崎大学医学部
共通テストボーダー:84%前後
19校ですね。
いわゆる標準的な国公立医学部といった感じです。
可もなく不可もなく。
「医者になりたい!」と「できるだけ学歴は欲しい!」のちょうど狭間くらいですね。もう後が無い浪人生とかが前期試験で受けるイメージです。
だから中には、倍率が凄かったりする医学部もあります。
国公立医学部
Dランク
山形大学医学部
富山大学医学部
福井大学医学部
和歌山県立医科大学
香川大学医学部
高知大学医学部
佐賀大学医学部
大分大学医学部
鹿児島大学医学部
琉球大学医学部
共通テストボーダー:82%前後
全部で10校ですね。
一応、国公立医学部の中では入りやすいと言われる部類です。
とはいえ共通テストで82%を求められるので、なかなか厳しい世界です。
これでも一般的な私立医学部よりは全然レベルが高いし、学費も安いので、医学部の中で言えば余裕でプライドを持っていい次元です。
国公立医学部
Eランク
弘前大学医学部
福島県立医科大学
共通テストボーダー:80%前後
残念ながらドベ2はこの二校。
例年弘前大学医学部が、一番共通テストボーダーが低いです。だいたいですが。
「とりあえず学費を抑えて医者になりたい」という人は、迷わずこの二校を選びましょう。一番コスパがいいです。
国公立医学部の受験の仕方
よくある国公立医学部の受験パターンをかいときます。
前期試験 | 第一志望 |
後期試験 | 第一志望から1or2ランク下の医学部 |
私立医系 | ・共通テスト利用1〜3校 ・一般受験2〜4校 |
まあ一例ですが。(うろ覚えな部分があるのはご容赦ください。)
私は、
前期試験 | 東大理3 |
後期試験 | 一橋経済 |
私立医系 | 防衛医科大学 |
横浜市立大学医学部を第一志望にしていた現役の友達だと、
前期試験 | 横浜市立大学医学部 |
後期試験 | 浜松医科大学後期 |
私立医 | 共通テスト利用 ・順天 一般受験 ・順天 ・慈恵 ・日医 |
強気の受験。
結局全勝して後期試験は受けず、横市に進みました。私立の入学金を300万円くらい払うハメにはなってましたが。
現役で愛媛大学医学部に僅差で落ちて、浪人でリベンジしにきた友達は、
前期試験 | 愛媛大学医学部 |
後期試験 | なし |
私立医 | 共通テスト利用 ・順天 ・国際医療福祉 一般受験 ・日医 ・順天 ・慈恵 ・昭和 ・東邦 ・獨協 |
で乱れ打ち。
結局日医と東邦に受かって、そのまま進学。他は全滅だった気がします。なんで日医に受かったのかは、誰もわかりませんでした。
あとは現役時は全然成績が足りず、浪人して浜松医科大学を第一志望にしていた友達、
前期試験 | 浜松医科大学 |
後期試験 | ? |
私立医 | 共通テスト利用 ・順天 ・昭和 ・東海 ・帝京 一般受験 ・順天 ・昭和 ・東海 ・帝京 ・国際医療福祉 |
結局全滅して、東京理科大に進んだらしいです。
まとめ
国公立医学部は、ランクわけしたものの、そんなに差がありません。
自分が働きたい地域だったり、大学の医局の強さなど、偏差値や点数以外の視点を持って志望校を決めるのはかなり重要かもしれません。
次は私立医バージョンもやる予定です。