去年の11月にアメフトの試合をして、右手の親指が死ぬほど痛かったんですけど。いろんな事情があって2週間我慢してたら痛みが引いてきたので放置してたんです。
で、
最近またぶつけて痛んだんで病院に行ったら、「骨折して治癒した形跡があります。その過程で変形しているようです」って言われて。
うそお。
そんなことはどうでもいいんですけど。
今日は、
逆転合格のカラクリ
について話します。
偏差値〇〇から△△大学に合格!
E判定からの逆転合格!
みたいな謳い文句はたくさんありますが、世の中はそんなに甘くないです。

こういうのが一番わかりやすい例です。(この方の指導力や実績を否定するわけではなく、その”逆転”というのは一般的に思われているものではないよ、という意味です。)
どんなカラクリで逆転合格が生み出されているのかを見ていってください。
目次
大学受験 逆転合格
①偏差値の仕組み
まず偏差値の仕組みに注目しましょう。
数学1Aを勉強した人ならわかると思いますが、偏差値の定義式は以下の式で表すことができます。
偏差値=50+(自分の得点ー平均点)÷標準偏差×10
まあ簡単に言うと、
偏差値とは母集団内での平均点からの距離を表します。
だから、
仮に自分の点数が同じ60点でも
頭のいい人の中では偏差値は低く出るし(平均点が高いから)
頭の悪い人の中では偏差値は高くでます。(平均点が低いから)
ということは、
母集団を変えれば偏差値も変わる。
MARCHのボーダーラインを考えてみると、進研模試では偏差値65前後となります。駿台模試では偏差値50前後で合格できます。
もっといえば東大模試の偏差値40くらいの人でもMARCHは普通に合格できると思います。(東大模試偏差値50がC判定くらいなので)
だから、
「偏差値40からMARCHに逆転合格!」
という売り文句も、その偏差値40が何の模試での偏差値なのかによります。
進研模試で偏差値40からの合格なら、偏差値を25UPさせての合格なので、十分逆転合格と言えるでしょう。しかし、駿台模試なら偏差値10程度のUPで合格できます。
(本格的に受験勉強をしたら初期状態から偏差値10くらい上がるのでは?)
また東大模試での偏差値40がスタートなら、成績を現状維持したままMARCHに合格したことになります。
そして、
東大模試を受けた1ヶ月後に進研模試を受ければ「1ヶ月で偏差値25UP」とか「1ヶ月で偏差値40から偏差値65に!」みたいな文句をつくれます。
また酷い話だと総合偏差値ではなく、一番悪かった1科目の偏差値を基準にしている場合もあります。
そうすると「数学の偏差値は40だったけど、英語と国語と社会の偏差値は75だったので、MARCHも余裕でした〜」みたいなパターンも考えられます。
世の中の逆転合格は基本的に、この偏差値の仕組みを悪用したものがほとんどです。
大学受験 逆転合格
②難関大学の不人気学部
「偏差値〇〇から慶應に逆転合格!」
と言った時、
慶應の何学部なのかが非常に大事になってきます。
スタディサプリの偏差値によると、慶應の医学部含め、法学部や総合政策などの人気学部の偏差値は70前後あります。
しかし、
慶應の看護学部だと偏差値は57.5です。
早稲田にもスポーツ科学部があります。他の先進理工などの早稲田のメイン学部に比べると大幅に偏差値が落ちる学部になっています。
基本的に、
穴場学部は一般学部より5~10ほど偏差値が低いです。
MARCHにもこういった穴場学部は存在しますし、そういった学部でも立派に大学名を名乗ることができます。
学部による偏差値の差が大きい
ことを利用して、逆転合格を演出しているだけの可能性は大いにあります。
「①偏差値の仕組み」と「②難関大学の不人気学部」を併用すれば、簡単に逆転合格を生み出すことはできるのです。
一度駿台模試を受けさせた後、最低限の勉強だけさせて、難関大学の不人気学部に押し込めば、「偏差値40から早慶に逆転合格!」のサンプルが1つできます。
謳い文句自体の加工っていうのは、こうやってなされています。
大学受験 逆転合格
③1,2科目受験
英語だけ偏差値70まで上げるのと、5教科全部偏差値70まで上げるのでは、どっちが難しいと思いますか。
当然、
科目数が多いほど成績の向上は難しいですよね。
一般に国公立大学は5教科7科目(今年から6教科8科目)の勉強をしなくてはいけません。
一方でSFC(慶應湘南藤沢キャンパス)の学部では、「小論文と英語」or「小論文と数学」or「小論文と情報」で受験することができます。
確かに小論文は対策なしでは難しいですが、とはいえ通常の1科目分も勉強時間はいりません。
そのためSFCなら実質1科目で受験することができます。
このように受験大学・学部を選べば、圧倒的に少ない科目数で受験することが可能です。
科目数が少なければ、その分勉強時間を1つに注げます。
東大英語で合格点を取るのに必要な勉強時間はおよそ1,000~1,500時間と言われています。つまり、毎日10時間1科目に注げるなら、およそ100~150日で東大レベルの英語力になる。
SFCがいくら1科目特化型とはいえ東大英語より難しいことはないですから、理論上約4ヶ月程度で0からSFCに合格することが可能である。
仮に小論文を500時間対策したとしても、6ヶ月あれば十分です。
こうすると、
「0から6ヶ月で慶應に逆転合格!」
という図式が出来上がります。
ビリギャルもちょうどこのパターンですね。
MARCHも共通テスト数学一本で受験できる学部がどこかにあったはずですし、多くはないですが割と1,2科目で受験できる難関私立はあります。
科目数を絞って超集中型で勉強すれば、俗にいう逆転合格が起こっても不思議ではないのです。
ここで1つ疑問が湧くと思います。
では、なぜみんなそうしないのか。
例えば先ほどのSFCの例のように英語しか勉強しなければどうなるか。
ほとんどの大学を併願することができなくなります。英語一本で受験できる学部は少ないので、滑り止めを用意することが非常に難しくなる。
もしSFCを落ちれば浪人が決定する。
そんなギャンブルじみた大学受験をする気概がありますか?親が許しますか?塾が推奨しますか?
という話です。
ただ逆転合格エピソードを作り出そうと思えば、この手法でいくらでも作れるということを覚えておいてください。
大学受験 逆転合格
④努力量が人外
「逆転合格しました!」
と言いつつ、裏で尋常じゃないほどの努力を重ねているパターンが稀にあります。
「高3夏に部活を引退した後毎日14,15時間勉強しました。」みたいな体力モンスター、鬼畜お化けが稀にいて、それによって逆転合格したように見える。
実際にかかった期間は短いので逆転感があります。
ただ、
他の人に真似できないほどの努力量だったりする。
という話です。
私の高校の先輩にもこのタイプがいました。全然知り合い程度なので、詳しい話を聞いたことはないんですけど、スタディプラスがつながっていたので多少知ってました。
高3の6月くらいまで部活をやっていて、基礎力はほとんど0。
その状態から毎日14,15時間勉強を継続して東大文系を目指していました。
本番では惜しくも東大に不合格となりましたが、滑り止めで受験していた早稲田はメインの学部を全勝し、結果早稲田に進学していました。
この例も単純に7月〜受験までで約240日の間に、毎日14,15時間勉強していれば約3,500時間は勉強できるわけです。
東大合格に必要な勉強時間は3,000~4,000時間なので、勉強量で言えば割と妥当なラインまで行ってるんです。
つまり、僅差落ちです。
(点数まで聞いてないので実際どうかはわかりませんが)
逆転合格に擬態した正規合格
という不思議なパターンがあります。
こういう人の合格体験記とかもし見つけたら本当に勉強になると思うので、ぜひ保存しておいたほうがいいです。
時間がない故にしっかり無駄ない計画を立てているだろうし、毎日異常なほどに頑張れるための気合いや工夫をしれると思います。
大学受験 逆転合格
⑤地頭はある
多いのが、
進学校の落ちこぼれ
中学受験をして難関中高一貫校に入学したはいいが、一切勉強せずに成績がドンドン下降し、落ちこぼれているパターンなど。
そういう人は地頭は非常にいい場合があります。
いわゆる、サボってただけタイプで、まさに1を聞いて10をしるタイプ。
基礎系の問題集をしっかりやれば、それを無限に応用できるので、必要最小限の努力量で成績が爆上げされるケースがあります。
ただ大学受験という広範囲な出題範囲において、これを実行できるほどの地頭を持つ人は本当に一握りです。
逆転合格の要因の1つになることは多々ありますが、地頭がいいことが主要因で逆転合格を成功させる事例はほぼないと言っていいと思います。
ビリギャルも確か中学受験経験者なので、地頭がある程度よかった可能性は大いにあります。
大学受験 逆転合格
⑥問題の相性
受験には問題の相性が存在します。
特に、得意不得意の激しい受験生。
逆転合格でしか合格の見込みがないとわかり賭けに出た受験生は、頻出単元しか勉強しないという人もいます。
もし受験当日に本当にその頻出単元しか出なければ、その受験生は合格するわけです。他の単元は本当にこれっぽっちもできないかもしれないのに。
それも戦略の1つです。
幸運が転がり込んだ時にだけ確実にモノにする方法でしっかり努力する。
基本的に難関大学や国立大学では満遍なく出題されますから、この方法はあまり効果的ではないですが、稀にうまくいく例があるようです。
問題の相性がピッタリなら、実力以上の力が出せて逆転合格することもあります。
大学受験 逆転合格
⑦マーク式
実力以上の得点をとる要因として、
マーク式
というものが挙げられます。
マーク式問題というのは、偶然正答するパターンが存在します。
豪運の持ち主は受験本番でその超希少パターンを引きます。これが塾講師とかが奇跡と呼んで不思議がるような逆転合格です。
模試を受けていればわかりますが、通常勘で書いたマークが複数個○になることは滅多にないと思います。
ただ別に理論上、勘で書いたマークが全て○である可能性は存在します。
共通テストの受験者は毎年合計50万人ほどいます。4択問題を9問正答する確率は1/262,144なので、毎年2人ほど勘だけで9問正答している化け物がいる計算です。
共通テスト国語で9問勘が当たったら、それだけで70,80点上がります。
共通テストで70,80点って、ほぼ1割です。共通テスト得点割合が1割上がれば、共通テスト利用でワンランク、ツーランク上の大学に合格できます。
どうしても説明がつかない逆転合格をした場合は、おそらくこれです。
信じられないですが。
まとめ
逆転合格というのは上記の7つの要素が複合的に作用して生み出されます。
決して、
受験勉強にショートカットがあるわけではないです。
受験勉強に遠回りはあってもショートカットはありません。しっかりと正しい努力をした人の成績が伸びるようにできています。
もちろん、
成績と合格大学は必ずしも一致しませんから、受験戦略を上手く使えば実力以上の大学名を背負うことも可能です。
そこまで全部含めての受験です。
ただ学力が簡単に上がると思っているのなら、大間違いだという話でした。