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先取り学習はやめてくれ。先取りのメリット&デメリット。

投稿日:

 

 

最近、横浜地裁で裁判の傍聴に行ってきました。

(↓近況報告なので無視してください。)

 

当初の予定では10:00~15:00の「殺人未遂」をみたかったんですけど、なんと傍聴席が満席ということで仕方なく断念。

代わりに見た午前中の「過失運転致傷、私印偽造」が非常に面白かったので、続けて午後も「過失運転致傷、覚醒剤取締法違反?」も見ました。

午前中の傍聴は、事故から運転免許証の不携帯が判明し、実はその時運転手が名乗った名前が本名ではなく、友達の名前を借りているという。

でも、

仕事の急用で急いでいたり、魔がさしたということで。

「ん〜じゃあ、まああり得なくはないか〜」と同情し始めていたところ、実は運転手は7年の無免許期間であったことが判明。

「あれ??」

そして、

実は免停2回免取3回、交通違反9回?とかの猛者であると。

「嘘だろ!」

というオチでした。

 

普段触れることのできない世界を覗けるので非常に興味深かったですね。(あ、上の面白いとか見たいってのはinterestingってことです。)

中学生くらいだと刺激強い可能性があるので、高校生・大学生くらいになったらぜひ一度見てみるといいと思います。

傍聴について軽く勉強するならこの人とかがわかりやすいです。https://as-birds.com/media/firstcourthearing/

(↑近況報告終わり。

 

 

で、

今回は「先取り学習」について。

 

 

 

目次

先取り学習とは?

ご存知の通り「先取り学習」というのは、

新出内容を別の方法で学習すること

です。

 

一般的には、

学校の内容に対して、進んだ内容を勉強することを言います。

学校の授業ではまだ正の数・負の数をやっている時期に、独学・塾などによって二次方程式や二次関数を勉強したりすることです。

小学生の進研ゼミなんかも広義には先取り学習の一種です。

 

今回は、

いいこと尽くしに思える、この先取り学習のメリット&デメリットについて解説していきます。

 

 

 

先取り学習のメリット
①全範囲を素早く終了

先取り学習の圧倒的なメリットの1つは、全範囲を素早く修了できること。

全範囲を素早く終えることができれば、

  • 過去問
  • 入試レベルの演習
  • 苦手/頻出分野
  • 他の教科

など、他のことに利用できる時間が増える、というメリットがあります。

 

特に大学受験において、

教科数・内容ともにそもそも範囲が異常に広く、新課程では教科数の増加が決定している大学受験において、この全範囲が素早く終わることは非常に大きなメリットです。

よくある大学受験の失敗例は

  • 公立高校の授業は受験直前に範囲が終わり、演習できない
  • 単純に受験教科の勉強が終わらない

などなど。

 

現役時での大学受験の失敗例のほとんどは時間的に十分な演習時間が取れない、もしくは範囲が終わらないことです。

単純に脳みその構造的な問題というよりは、時間不足によって満足いく勉強をできないことの方が主要因です。

 

大学受験においては、そもそも全範囲を修了することが難しいので、ただそれだけで大きなアドバンテージになります。

その上、

他のことに割く時間ができれば、圧倒的に有利に受験勉強を進められます

 

中学受験でも塾の進度は非常に早く、早いところだとカリキュラムが小学3年生から入塾することを前提に組まれていたりします。

多くの大手塾では小学6年生の夏までには全て習い終えます。学校で習う内容はもちろん、中学受験特有の特殊算などもです。

 

受験において、

先取り学習によって受験直前期に余裕を作ることは非常に有利に働くわけです。

 

 

 

先取り学習のメリット
②授業の予習になる

先取り学習をすることで、授業の理解度が上がる、というメリットがあります。

先取り学習自体が授業の予習として働くので、学校の授業で扱う前に、ある程度理解することができるでしょう。

また先取り学習が予習、授業が実質復習として機能します。

そのため、

実質勉強量が2倍になる

 

そりゃあ授業の理解度も上がります。

だから、

学校の授業についていけない
テストで悪い点をとる

といったリスクを大幅に低減することができます。

本来1回の勉強では理解できない事柄があったとして、先取り学習時点で分からなくても、授業で2回目に学習して理解することができます。

 

進研ゼミはこのメリットを最大限活かした学習方法です。

1ヶ月だけ分だけ先取りすることで、学校の予習になるし、学校の授業まで期間が空きすぎないので忘れる心配も少ない。

 

 

 

先取り学習のメリット
③自信につながる

先取り学習をすれば、その分成績は高くなりやすいです。

成績が高くなれば、当然勉強に対する苦手意識が消える可能性が高い。勉強に対するモチベーションも上がりやすい

 

それによって、

勉強する
→成績が上がる
→楽しい
→もっと勉強する

という好循環に入れば非常にいい

 

特に小中学生はモチベーションの管理が難しいですし、高校生であってもやる気を出して日々勉強するのはハードルが高い。

先取り学習はこれらのメンタル面での課題を一気に解決してくれる可能性が非常に高いです。

 

「学校の復習をする」というのは一回こっきりの勉強になりやすいですが、先取り学習は将来に続いて行きやすいので、

勉強習慣をつける導入としての効果は非常に高いです。

 

 

 

先取り学習のデメリット
①思考力を奪う

ただ先取り学習にもデメリットがあります。

一番のデメリットは、中途半端な先取り学習は

思考力を奪う

 

  • 新出事項を理解せず暗記
  • 先取りした知識に頼る

などがよくある失敗です。

 

まず、

中途半端に先取り学習をすると、新出事項を理解せずに暗記し始めます。

特にテキストや参考書のみでの独学形式で先取り学習を進めている場合は要注意です。

新出事項の理解というのは非常に体力を使う行為で、できることなら避けたいと思うのが通常の心理なわけです。

そこでその場しのぎの解決策として、丸暗記という策があります。

新出事項も公式もよく分からないけど、とりあえず全部丸暗記してしまえば、そこで問われる初歩の問題は解けてしまうわけです。

基礎的な問題だとテキトーに数値を代入したり、なんとなく公式を利用すれば、全貌は全く理解できていなくとも答えは出てしまいます。

これによって、

本来普通の学習者であれば思考力を養うチャンスをドブに捨てることになります。

一般的な学習者であれば自分の頭を使って必死に考えて思考力を養っている部分で、脳死状態なので、当然積み重なれば思考力には大きな差ができます。

また、

丸暗記の知識は応用問題でまったく活かせません。

現在学習している内容は後々まったく役に立たず、将来の自分からも思考力を奪うことになります。

 

2つ目の失敗例として、先取りした知識に頼る、というものがあります。

例えば、図形問題。

小学生は必死に補助線を引いたり、等積変形を使ったり、パズルのように柔軟な発想で問題を解いていくわけです。

しかし、

高校生になると三角比を使いこなすことができるので、普通の図形問題では柔軟な発想を使わなくても、式でゴリゴリ解けてしまったりします

本来であれば、

思考力を養うはずの応用問題が、先取りした知識を使うとただの暗記問題に成り下がることは多々あります。

「どうせ後々そうなるだからいいじゃあないか!」

と思う人もいるかもしれません。

ただ、

その後々のさらにあとに、あなたは応用問題を解くんです。今度は先取りした知識を応用して解くような次のレベルの問題を。

その時に、

武器の運用・応用に慣れていない(=思考力が低い)と、将来的に思考力不足に悩むことになります。

 

先取り学習は、

思考力を養う場を潰しうる

ということを覚えておいてください。

 

 

 

先取り学習のデメリット
②伸び悩みのリスクを負う

先取り学習を万能の勉強法だと思ってはなりません。

先取り学習をするということは、現在の範囲を学習する時間が減るということです。

 

ここに何の対策も講じないまま先取り学習を進めれば、当然現在の学習範囲の完成度は低くなるわけです。

ここで理解しておいて欲しいのは、勉強は積み木のようなものである、ということ。

現在の学習の完成度が低ければ、当然その上に乗る積み木の数も減るということをしっかり認識してもらいたいです。

 

※横幅がその段階での勉強の完成度を、縦の高さが勉強のレベルを表しています。

 

みなさんこの積み木理論を割と軽く見がちですが、舐めていると結構簡単に詰みます。

そもそも、

上下に隣り合う積み木は横幅が等しくないと、勉強としては失敗です。

上に行くほど横幅が小さくなるような勉強をしていると、いずれ必ず積み木を乗せることができなくなります。当然です。

ただ現実問題100%の完成度は不可能なので、少しずつ横幅は狭まって行きます。

しかしそれでも、

毎回毎回、「この段階でやり残したことは一切ないか」確認しながら、次の積み木に進んでいくことが非常に大事になります。

 

先取り学習をするということは、現在の段階に区切りをつけたということ。

本当にその完成度でいいですか?
大学受験/大学の勉強…と詰まない自信はありますか?

 

現在までの学習範囲の完成度が低ければ、後々成長が見込めなくなる。そうなったら、どこから戻るか判断するのは至難の技です。

そのリスクを背負うだけの自信と覚悟はあるのか、という話です。

先取り学習に進む前に、現在までの範囲を完璧にすることが先なのではないか。という問いを常に持ち続けないと簡単に破綻します。

 

 

 

先取り学習のデメリット
③過信へ

特に小中学生に注意して欲しいことですが、

先取り学習は過信へ

つながります。

 

ただあとで習う知識を知っているだけ
ただ他の人よりその分野の演習量が多いだけ
ただ結果を知っているだけ

それを賢いとは言いません

 

他のみんなが後々同じ範囲を学習し、勉強量に差がなくなった頃にも負けないでいられるか、というのが先取り学習の命題。

先取りすれば誰でも到達する程度の完成度で「自分は賢いんだ!」と過信すると、

  • 学校の授業から吸収できなくなる
  • 自己認識にズレが生じる

などの弊害があります。

 

まず人は見下した相手から何かを吸収することはできません

先取り学習により自分の実力を過信し、授業や先生を舐めた結果、学校から何も学び取れないというのはよくある例です。

本当に学校のレベルを超越していて、授業から学び取れることはほぼ0であるなら、それでもいいでしょう。

ただ先取り学習で実際にそのレベルに到達するのは結構難しいはずです。

過信した結果、

学校の授業での復習効果が得られず、実は周りの生徒に比べてその分野の完成度が低くなるというのはありがちなミス。

みんなの勉強量に差がなくなってきた頃に抜かされます。

 

また、自己認識がズレます

例えば、数学は「知識の量」と「知識の運用力」で成績が決まります。

中1〜高2くらいまでは「知識の量」だけでほぼほぼ点数が決まります。多くの問題を解いて身につけている人が圧倒的に強いです。

ただ高3後半くらいからみんな必要最低限の知識は持っている、つまり「知識の量」に差がない状態で、「知識の運用力」で点数が決まって行きます。

応用力ってやつです。

 

先取り学習により「知識の量」が増えただけで無双して過信していると、最後の伸び悩みを予見できず、最後の最後に計画が瓦解します。

目標得点に急に届かなくなります。

 

だから、

先取り学習をしても謙虚な姿勢を貫くことが大事。

 

 

 

先取り学習のデメリット
④現在の負担が爆増

また先取り学習の大きなデメリットの1つに、

負担が爆増する

ことがあげられます。

 

単純に、

「現在の範囲の勉強」と「先取り学習」の2種類の勉強をしないといけないので、負担が2倍に増えます。

通常「先取り学習」をする場合は、広く浅くやって行きます。

例えば今中3だとすると、高1全範囲の基礎をまず勉強する。その後高1全範囲の標準的なレベルを勉強する。というふうに先取りが進みます。

 

4,5月までは学校と同じ進度で1月に1単元ずつ完璧にしていく勉強をしていて、6月以降は単元③〜⑦の先取り学習をしたとします。

その場合の7月での完成度はこんな感じです。

※高さが完成度です。

 

学校の授業では6,7月と単元③④を勉強しているわけですから、「じゃあ単元③④のテストするよ〜」となると、まだ完成度は4割程度です。

その場合どうするか。

ここでテスト勉強のために単元③④を勉強しないといけません。

結果として、

  • テスト勉強と先取り学習でエグ忙しい
  • テスト勉強のために先取り学習を中断
  • 先取り学習を優先してテストを捨てる

のどれかになります。

 

こうなってしまうと先取り学習も計画通り進まないし、勉強量も増えるし、グラグラです。

解決策としては、

10月以降に単元③のテストがあるように先取り学習を早める。

 

こうするとテスト勉強をする必要がなく、学校の授業もノー勉でついていけるため、先取り学習のみしていればいい状況になり、非常に楽です。

私は中2で数学をこの状況にしてから高三最後までずっと学年一位でした。

 

 

 

まとめ

先取り学習は、

  • 深い理解を追求する
  • 100%の完成度を目指す
  • 学校の進度を考慮す
  • 過信しない

 

という注意点を守ればメリットが非常に多い勉強法です。

ぜひ質の高い先取り学習で受験を有利に進めてください。

 

 

 

 

 

-中学受験, 大学受験, 高校受験

執筆者:


  1. ホーキンス より:

    コメント失礼します。
    新高2、京大文系志望です。
    英文解釈について4つのルートを考えたのですがご意見伺いたいです。
    ①基本はここだ→基礎100→ポレポレ
    ②入門英文問題精巧→熟考上下→ポレポレ
    ③肘井紫→熟考上下→ポレポレ
    です。ご指摘等もよろしければお願いします。

    • dio より:

      私は①推しです。私自身①+入門70でやっているので、保証できます。基礎100が難しく感じたら入門70でもいいかもしれませんが、ほとんど変わらないのでよっぽどのことでなければ基礎100でいいでしょう。京大なら、余裕があればですが、ポレポレだけでなく透視図までできると和訳に不安は残らないでしょう。新しいことを学ぶというより演習という形です。
      ②は入門英文問題精巧をやったことないのでわかりません。
      ③もいいと思います。

      • ホーキンス より:

        返信ありがとうございます。
        以前の記事で、肘井紫を入門70と基本はここだの代替として使うと仰っていたので、
        肘井→基礎100or熟考→ポレポレ→透視図
        にしようと思います。本屋で見て合わないと思ったら①のルートで行こうと思います、ありがとうございました!

  2. wakao より:

    (1つ前の記事にコメントさせていただいたのですが、念のため再度コメント致します)
    中3(新高1)、東大理1志望しています。勉強計画を練っているところで、理社国のタイミングがよくわからなかったので、前回の記事はとても助かりました、ありがとうございます。
    英文法について次の3つのルートを考えたのですが、理1を目指すのに適しているのはどれか、また過不足等ありましたらご指摘いただけるとありがたいです。
    (私は公立中在籍で、英語の習得は公立高校入試英語で8割後半~9割ほどです)
    ①総合英語Be+ベスト400 → スクランブル → 英頻1000 → ファイナル(標準) →ファイナル(難関)
    ②総合英語Be+ベスト400 → スクランブル → 基礎英文法問題精講 → 英頻1000 → ファイナル(標準) →ファイナル(難関)
    ③総合英語Be+入門英文法問題精講 → 基礎英文法問題精講 → スクランブル→ 英頻1000 → ファイナル(標準) →ファイナル(難関)

    以上の3ルートで決めきれずにいます。もしよろしかったらdioさんのご意見を伺いたいです、よろしくお願い致します。

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